家に帰るとマダオが必ず死んだふりをしています。

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家に帰るとマダオが必ず死んだふりをしています。

・mayora31 さん

家に帰るとマダオが必ず死んだふりをしています。
これはどういうことなのでしょう?
家に帰り玄関の扉を開けると、年下の同居人(以下マダオ)が倒れていました。



夜の帳が降りきった、ある夜。残業で疲れた体を引きずって、俺は帰宅した。いつものことながら、俺を困らせることを生き甲斐にしているに違いない部下に振り回されて、散々な目にあった。
俺はため息を付きながらも、自宅であるマンションの窓を見上げる。だが、いつも点いている明かりが、その日だけは点いていなくて、首を傾げた。
俺には、同居人がいる。その同居人は学生で仕事という仕事もなく、家に居てダラダラとしているマダオで、それでいて無駄に器用だから家事の一切を任せている。それくらいはして貰わなければ、本当の意味でアイツはマダオになるからだ。
その同居人は、どんなに俺の帰りが遅くなっても夕飯を作って待っていてくれる。マンションの明かりを点けて。そして疲れて帰って来た俺に満面の笑顔と、温かい食事を用意してくれる。
だが、その日はマンションの明かりが消えていて。もしかしたら先に寝てしまっているのかもしれない、と思った。別に必ず待っていて欲しいワケではないし、夕飯だって準備してくれれば後は勝手に食べる。
そう思いながらも、何となく寂しい思いを抱えて、俺はマンションに入る。エレベーターに乗って、三階の一番端が俺たちの部屋だ。
部屋の前にようやく到着して、俺は扉の鍵を差し込む。だけど、そこで違和感を覚えた。どうやら扉の鍵は掛かっていないようで、ドアノブを回せば簡単に扉は開いた。
ちゃんと鍵を掛けとけよ、と内心でぼやきながら、靴を脱ぐ。真っ暗な玄関に目を細め、電気のスイッチに手を伸ばした。パッと部屋が明るくなり、ホッと息を吐いた瞬間。
……―――視界に飛び込む、銀色。
俺は一瞬だけ息を止めて、ソイツを見た。玄関先に無防備に倒れているソイツは、俺の同居人で。すぐに我に返って、慌てて駆け寄った。

「オイ!?どうかしたのか!?」

うつ伏せに倒れている同居人の肩を揺らして、震える声で呼びかけた。だけど、返事はない。俺はますますパニックになりながら、微かに残った理性で救急車の存在を思い出す。

「と、とりあえず救急車!えっと、救急車は一一〇?アレ?一一八?」

携帯を片手に、俺は番号が分からずにまたパニックになる。落ち着け、と自分に言い聞かせるものの、上手くいかない。結局番号が思い出せずに、ヤバイどうしよう、と途方に暮れていると。

「救急車は一一九だよ、十四郎」
「へ?」

うつ伏せに倒れているはずの同居人の声が聞こえて、耳を疑った。あまりにも焦りすぎて、幻聴でも聞こえたのか?と。
呆然としていると、倒れていた同居人は何ごともなかったように普通に起き上がって、俺を見てニヤニヤと笑った。

「予想外に驚いてくれて嬉しかったよ。愛を感じるね、愛を」
「……」

うんうん、と頷く同居人。俺はソイツの死んだ魚のような目を見て、ようやく、倒れていたのは同居人が打った芝居だということに気づく。同時に、俺の反応を見て楽しんでいただろうその同居人の、悪戯が成功した子供のような顔にイラっときて。

「マジで一回死んどけやこのマダオがぁあああああああああああああああああああああああ!」
「ぎゃああああああああああ!」

 俺はそのふわっふわした天パに強力な一撃をお見舞いしていた。



この時はかなり驚きましたが、マダオはそんな俺の反応に何を思ったのか、その日以来私が帰るとマダオが玄関先で倒れている、という光景が広がるようになりました。
正直、驚いたのは最初だけで、次の日にはもう慣れてしまって、マダオが倒れていても無視することにしました。
そうしたら、マダオは何をトチ狂ったのか……。



「ただい、ま!?」

いつものように帰宅した俺は、今日もまたマダオが倒れているであろう玄関先を見て、絶句した。
マダオが倒れているのはいつものことだが、そのマダオは真っ赤に染まったシャツを着て、仰向けに倒れていた。

「……」

俺はそれを見て最初は声を失くしたものの、すぐに我に返って、深くため息をついた。
廊下の一面に広がる、真っ赤な液体。しかも鮮やかな赤ではなく、少し黒みがかかった赤色なのが妙にリアルで腹が立つ。
俺はいつものように靴を脱いで、倒れているマダオの横を素通りする。そして、リビングに続く扉を開いて、振り返る。相変わらずそこにはマダオが転がっていて、イラッとしつつマダオの傍まで近寄ると、その無防備な腹を思いっきり踏みつけた。

「ぶぼッ!」
「グダグダ寝てねーでさっさと飯の準備をしやがれこのマダオ」
「ごほ、ごふ!ちょ、待って、何か出そう。大事なモンがこんにちはしそう」
「ついでに大事なモンとさよならすっかコラ」

俺は足を上げて、男の大事な部分に狙いを定める。マダオはその雰囲気を悟って、急所攻撃、ダメ!絶対!と叫んでいた。


これに懲りただろうと思った、次の日。扉を開けると、今度は頭に矢が刺さっていた。頭に刺さった矢は貫通しているように見えて、どうなってんだアレは?と内心で首を傾げる。だけど関わるとロクなことにならないので、無視した。すると起き上がって来たマダオは、頭に矢が刺さったまま飯の準備をしだしたので、殴っておいた。
その次の日は、何故か星の形をしたマスクをして、ギターを抱えたまま倒れていた。俺は同居人が何をしたいのか分からなかったけれど、取りあえず頭の部分だと思われる場所を踏み潰しておいた。すると柔らかい感触がして、その感触が思ったよりも良かったので、その星と同じ素材でキューピークッションを作らせた。それは今、俺の抱き枕になっている。同居人は、そんなのに抱きつくくらいなら俺に抱きつけよ!と喚いていたので、黙らせる為に取りあえず殴っておいた。
そして、その二日後。いい加減ネタが切れただろうとタカを括って扉を開けると、普通に倒れている同居人を発見。やっぱりネタが尽きたな、と思って近づいてみると、同居人の傍に赤い文字で『カレー』と書かれていた。カレーって何だ?と首を傾げながらも無視してリビングに入ると、カレー独特の匂いがしていて、今日の晩御飯はカレーだと言うことが分かった。
ので、起き上がってきた同居人に。

「今日のアレは良かったんじゃねーの?分かりやすくて」

と何となく褒めたら。
次の日、さかな君の帽子を被った同居人が倒れていた。晩御飯が魚だということは分かったものの、褒められて調子に乗っているのがアリアリと分かったので、無視しておいた。




しかし、一体、マダオは何がしたいのでしょう。
そして、この先どこに行きたいのか?
それが全く理解できません。
誰か教えてください。



【回答】

・gorira31 さん

そのマダオさんは、きっと仕事で疲れた貴方を笑いで癒してあげようと思っているのではないでしょうか。
ちなみに私は毎日のように想い人の為に思考錯誤していますが、照れ屋なのか中々喜んでる顔を見せてはくれません。でも想いは伝わっていると信じています(笑

・fruitpunch g さん

マダオさん凄いですね(驚
相当凝った演出をなさってて、多分貴方の反応を見たいだけなんじゃないかなと思います(笑
今度は是非マダオさんにエリザベスの着ぐるみを着て欲しいです(願

・K jyasuant さん

困っているなら、自分も仕返しにやり返してみたらどうアルか?

・t さん

押してダメなら引いてみろ。
引いてダメなら押し倒せ。

・sin8 さん

何となく惚気に聞こえなくもないですが……。
でもマダオさんはきっと不安なんじゃないですか?時々でいいので、反応してあげたらどうですか?




「反応、か」

俺はパソコンの前で唸る。同居人の暴走に困り果て、ネット上で相談をしてみたら、予想に反して色々な意見が出た。
確かに、と頷けるものもあれば、ん?と首を傾げるもののあり、様々だ。だけど皆して一様に、同居人の奇抜な行動を褒め称えている。
しかし、それを毎日のように見る羽目になっている身にもなって欲しい。正直に言えば、全然笑えないし、疲れる。

「……でもなぁ」

かといって、皆がくれた回答が間違っているとは、思えない。
確かにここ数日忙しくて、同居人を蔑ろにしていたことは事実だ。それを同居人自身は何も言わなかったが、もしかしたら。

「……大馬鹿野郎」

何だかんだ言って素直じゃない五歳ほど年の離れた同居人と、素直になれない自分に対して、そう罵っていた。
そして、じっとPCの画面を見つめた後、意を決してキーボードを打つ。


答えは、たぶんもう、決まっている。



三日後。その日は久しぶりの休暇だ。同居人は前の夜から妙にソワソワして落ち着きがなく、今朝も上機嫌のまま買い物に出かけてしまった。
俺はその背中を見送って、一人、静まり返った部屋で同居人の帰りを待つ。
……アイツも、こんな気持ちだったのか?
妙に静か過ぎる部屋を無意味に見渡して、俺はキューピークッションを抱きしめる。柔らかな感触に気分は落ち着いたけれど、それだけだ。
俺はぐっと唇を噛み締めて、覚悟を決めた。




「ただいまー」

しばらくして、同居人が帰ってきた。少し調子の外れた鼻歌を歌いながら、リビングに近づく気配がする。俺は瞼を閉じたまま、同居人の様子を伺った。

「銀さんのお帰りですよー。……アレ?十四郎?」

返事のない俺を怪訝に思ったのか、同居人はリビングに入って来ながら、俺の名を呼ぶ。だがすぐにソファーに横になっている俺を見つけて、寝てるの?と苦笑交じりに近づいてくる気配がした。
しょうがないなぁ、と言いながらこちらに近づいてきた同居人は、ふと足を止めた。

「え……、何、コレ……」

呆然とした、同居人の声。そして、机の上に置いていたアレを手に取る気配。

「コレって……睡眠薬?」

瞼を閉じていて、同居人が今どんな顔をしているのかは分からない。だけど多分、顔が真っ青になっているに違いない。

「十四郎ッ?え?マジで?え?ちょ、待って。え?マジで?」

ようやく事態を飲み込めたのか、同居人は盛大に慌て出して。肩を軽く揺さぶってきたけれど、無視して寝たふりを続けた。

「と、とりあえず救急車!えっと、救急車は一一〇?アレ?一一八?」

焦る同居人は、いつぞやの俺と同じ状態になっていて複雑な心境になる。その間も俺の体を揺さ振っていた同居人だったが、遂に許容範囲を超えたのか、どおじろぉおおお!と涙声になって抱きついてきた。
……もうそろそろ、いいだろう。
俺は同居人の反応に満足して、うっすらと目を開ける。するとマヌケな面をした同居人がハッと顔を上げて。

「と、とおしろ!」
「……ンだよ、うるせぇ」

少しは静かにしやがれ、と文句を言えば、良かったぁああああ!と叫びながらぎゅう、と更に力強く抱きしめてきた。

「お、おい、ちょ、苦しいって」
「とおしろ、とおしろ」

馬鹿の一つ覚えのように俺の名しか呼ばない同居人の、ふわふわとした天パを撫でる。まるで大きな犬が懐いているような気分になって、俺は馬鹿だなぁと思いつつ、ずっと言いたかったことを口にした。

「これで、分かったかよ」
「!」

ハッと顔を上げた同居人と目が合う。そしてぽつりと、ごめん、と呟いた。

構って欲しくて、死んだフリをする同居人。
その想いは確かによく分かるけれど、でも俺だって、そんな同居人の姿を毎日のように見せられて、苦しくないはずがないのに。
だから、俺も死んだフリをすれば、きっと俺の気持ちが分かってくれるはずだ。
俺が死んだフリをして、同居人の気持ちが分かったように。

だから、これでアイコだ。



俺は小さく苦笑しつつ、ごめん、と項垂れる同居人の唇を、取りあえず塞ぐことにした。



【補足】

・mayora31 さん

皆さん、回答をありがとうございます。
皆さんの意見を総合して、私も死んだフリを仕返してやりたいと思います。

追記

してみました。思ったよりも効果があったらしく、以来、マダオが死んだフリをするのが減りました。ですが全くしなくなったというわけではないのが悩みのタネです。でもまぁ、それがマダオなりの表現の仕方だというのなら仕方ない、と最近では思うようになりました。ありがとうございました。







【ベストアンサー】

・sinehijikata さん

とりあえず、アンタら早く結婚しろィ。





おわり。



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